せきえま

ばきゅうむ「ヤリ部屋サービス」感想

サンプル読んで気になったので購入。
非常にスケベでリアリティを持たせてくれる一作でした。

ばきゅうむ「ヤリ部屋サービス」

ヤリ部屋サービス
ヤリ部屋サービス
(サンプル画像:7枚)

内容

【それは、マンションに住んでいる人妻を対象とした性的な極秘裏オプション。】

結婚して約二年―

宮下 楓(みやした かえで) 37歳は夫との夜の営みで絶頂できずストレスを抱えていたー。

そんなとき同じマンションに住む友人、松永 みずき(まつなが みずき)に

悩みを打ち明けたところ思いがけない提案を受ける。

それは、マンションに住んでいる人妻を対象とした性的な極秘裏オプション

「ヤリ部屋サービス」だった――――。

感想

夫とセックスレスというわけではないものの一方的なセックスをされ、性的満足度が得られていない主人公・宮下楓。
そんな時にマンションの住人、松永みずきに「匿名で参加できるヤリ部屋サービスがある」という話を聞いて・・・という話。
人妻。不貞。

性に開放的ではない宮下さんの自我の開放

この作品を読んでどんな部分に感情移入ができるかというと、主人公の宮下さんの性への感覚。
夫とのセックスに不満は持ちつつもセフレについて考えたりしない、さらにアダルトグッズを購入したりしているわけでもない。性を探求することに後ろめたさを感じているというか。

国民性なのか、世代間の話なのかはわからないですが、性に対しての後ろめたさを感じる人は世の中に多いはず。
宮下さんに感情移入できる人は多いと思うのですが、そんな人が性の未知を開拓、のめり込んでいくさまが魅力です。

ある日「匿名で参加できるヤリ部屋サービス」を同じマンションの住人・松永さんに誘われる。ちょうど欲求不満のピークだった宮下さんは勢いで利用。
エロコスチュームを着用して(これも秘密の場所だからこその演出として最高です)、顔も正体もわからない男とのセックスを展開します。

最初は恥ずかしがったり抵抗したりするものの夫とは全く違った気持ちの良さを与えてもらうことで、どんどん開放的になり「気持ちいい」と口に出す、ねっとりしたフェラをする、大きな声で喘ぐ、大量の潮を吹く・・・当初の宮下さんからは考えられない自我を超えたところにあるセックスが最高です。

マスク着用で物語にリアリティを生んでいる

さらに本作で優秀なのは最後までマスク姿で通すということ。

作者さんはあとがきにてマスクをすることに対して「漫画的に大丈夫か?」という言及をされています。
ただ、ちゃんと最後までマスクで顔を隠すという点でリアリティが増していると思うんですよね。

その場のノリで顔を公開してしまうんじゃなくて、最後まで誰だかわからないように秘匿されているからこそ継続的なコミュニティができているのだと考えることができる。
秘匿性がしっかりしているので、読み手からすると「本当にこういう部屋があるのではないか」と感じることができる。

マスクは性的なアイテムとしても優秀で、顔を隠すことで誰だかバレないからこそドスケベな衣装でセックスしたり、自我を開放して大声を出して喘いだりできるわけです。
装置としてこのマスク着用は物語のエロさを何倍にも膨らませていると思います。

結果的に「1回だけ」と言っていた宮下さんも終わったあとに「行けても月1回だから1ヶ月後」のような発言をし始めます。
いいですよね。ヤリ部屋サービスの利用前の日とかすごくソワソワしちゃうんだろうなって思いますよね笑

ヤリ部屋サービスというファンタジーになりそうな世界観をリアリティを持たせて描かれている一作。
自我の開放という難しい部分をうまいこと開放させてあげられる仕組みがよくできていました。エロい。

ごちそうさまでした。

作品

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